薬剤師シリーズ

メトホルミンのMTって何?グリコランとメトグルコの違いと一般名処方の注意事項

こんにちは!薬剤師テンパです。

近ごろ、患者が持ってくる処方せんを見ていると、一般名が記載されていることが多く、やっと一般名処方が定着してきたなあ~って感じですかね。

一般名処方だと、患者の希望で先発品や後発品(ジェネリック)を好きに選ぶことができるので、疑義照会が不要で調剤しやすいというメリットがあります。

しかし、中には一般名処方がかえって紛らわしいものもあります!

その1つにメトホルミンがありますよね!

メトホルミンとは・・・

60年以上も使用されていて実績があり、世界で最も多く使用されている2型糖尿病の治療薬の一つです。

血糖値を低下させる以外にも、がん細胞の増殖抑制・発がん率の低下・寿命の延長など、さまざまな作用が報告されています。

副作用として乳酸アシドーシスには注意が必要ですが、日本でもよく処方されている薬です。

では、話を戻します。

メトホルミンの何が紛らわしいかというと・・・

一般名処方【般】メトホルミン塩酸塩錠 には、

先発品だと

グリコランメトグルコ

後発品(ジェネリック)だと

メトホルミンメトホルミンMT

があります。

そこで今回はメトホルミンについてのお話です。

グリコラン、メトグルコ、メトホルミン、メトホルミンMTの違いって何?

簡単に説明に説明すると

先発品   後発品(ジェネリック)
グリコラン メトホルミン
メトグルコ メトホルミンMT

 

ということになり、グリコランはメトホルミンに、メトグルコはメトホルミンMTに変更して調剤することができます。

では、そもそもグリコランとメトグルコって何が違うのか?

グリコランとメトグルコに含まれているメトホルミンは同じもの!

製剤の名前が分かれているということは、作用時間などが違うのでは?

と思うかもしれませんが、どちらにも同じメトホルミンが含まれていて、製剤的な違いはありません!

グリコランとメトグルコの違いは上限量と高齢者への投与制限

1日の上限量について
グリコラン ・・・ 750㎎まで
  メトグルコ ・・・ 2250㎎まで 
高齢者への投与
グリコラン ・・・ 高齢者への投与は禁忌
  メトグルコ ・・・ 高齢者への投与は慎重投与

 

そうです!

グリコランは上限量が少なく設定されており、高齢者への投与禁忌になっているのです。

グリコランとメトグルコは同じなのになんで?

と思いますよね。

実はメトホルミンの発売の経緯に原因があります。

メトホルミン上限量の違いは発売の経緯が原因

医薬品名 グリコラン メトグルコ
薬価収載 2006年12月 2010年4月
販売開始 1961年3月 2010年5月

 

簡単に発売された経緯を説明すると

もともと、メトホルミン製剤はメルビン(2011年販売終了)とグリコランが販売されていた。

どちらも1日の投与上限量は750mgまで

海外で大規模臨床試験が行われ、日本の承認用量よりも多い量でメトホルミンの有効性・安全性が実証される。

日本における承認用量を再度検討される

新医薬品という分類で上限量を増やしたメトグルコが発売

今に至る

 

メトホルミンは、1958年にフランスのJ. Sterneによってその血糖降下作用が報告され、本邦では、1961年1月にメルビン錠(2011年販売終了)として承認を受け、長く使用されてきた。

しかしながら、1970年代後半、BG剤の1つであるフェンホルミンによる乳酸アシドーシスが問題となり、同じビグアナイド系薬剤であるメトホルミンの効能・効果、用法・用量、使用患者にも制限が加えられた。以来、本邦では長い間、欧米諸国よりも低用量で使用されてきた。

一方、海外では、UKPDS(UK Prospective Diabetes Study)など日本の承認用量を大きく上回る用量のメトホルミンを用いた大規模臨床試験が実施され、メトホルミンの有効性、安全性が実証されてきた。

こうした背景から、当社では、日本人におけるメトホルミンの効能・効果、用法・用量を再度検討するため、2003年にMerck Santé社(本社:フランス)から、世界100ヵ国以上で承認され、豊富な臨床及び非臨床のエビデンスを有する「Glucophage®」を導入し、日本人において既承認用量の750mgを上回る投与量での有効性、安全性を確認した。

「メトグルコ®錠250mg」の販売名で新医薬品として申請を行い、2010年1月に承認を受けた。また、2012年8月には、「メトグルコ®錠500mg」が承認された。

メトグルコ錠250mg、500mg-医薬品インタビューフォームより引用

 

メトホルミンが処方されている時の注意事項

上で説明した通り、グリコランとメトグルコは同じ成分だけど、処方せん上の記載では別の薬として扱う必要があります

一般名処方ではない場合

〇 変更して問題ない例

グリコラン→メトホルミン

メトグルコ→メトホルミンMT

× 変更できない例

グリコラン→メトグルコ

グリコラン→メトホルミンMT

メトグルコ→グリコラン

メトグルコ→メトホルミン

ちなみに、先発品と後発品(ジェネリック)の薬価はどちらも同じなので、先発から後発への変更も問題ありません!

薬価(2019年3月調べ)

グリコラン錠250mg・・・9.6円

メトホルミン塩酸塩錠250mg・・・9.6円

メトグルコ錠250mg・・・9.9円
      500mg・・・15.4円

メトホルミン塩酸塩錠250mgMT・・・9.9円
          500mgMT・・・15.4円

ここまでは、大丈夫かと思います。では、一般名処方の場合はどうでしょうか。

一般名処方の場合

現在、厚生労働省から発表されている一般名処方マスタは

【般】メトホルミン塩酸塩錠250mg:G

【般】メトホルミン塩酸塩錠500mg:MT

の二つだけで、2016年薬価改定後に

【般】メトホルミン塩酸塩錠250mg:MT

は削除されています。

そのため

〇 変更して問題ない例

【般】メトホルミン塩酸塩錠250mg:G
→グリコラン錠250mg、メトホルミン塩酸塩錠250mg

【般】メトホルミン塩酸塩錠500mg:MT
→メトグルコ錠500mg、メトホルミン塩酸塩錠500mgMT

× 変更できない例

【般】メトホルミン塩酸塩錠250mg:G
→メトグルコ錠250mg、メトホルミン塩酸塩錠250mgMT

【般】メトホルミン塩酸塩錠500mg:MT
→グリコラン錠250mg2錠、メトホルミン錠250mg2錠、メトホルミン塩酸塩錠250mgMT2錠

テンパ
テンパ
間違えないように注意しよう!

医療機関でのメトホルミン一般名処方でよくある間違い

先日、こんな処方がありました。

【般】メトホルミン塩酸塩錠250mg 6錠/分3

処方せんの記載どおりだと、取りそろえる薬は先発品グリコランか、後発品メトホルミンになります。

しかし、メトホルミンの1日投与量が1500mgであり、上限量を超えてしまっています。そのため、処方した医療機関に疑義照会をしたところ、処方したかったのは先発品メトグルコか、後発品メトホルミンMTの方らしい・・・

詳しく話を聞いてみると、

その医療機関はメトホルミンとメトホルミンMTの一般名処方を使い分けていないことが判明!

テンパ
テンパ
しっかり使い分けて~~

ちなみにグルコランは上限量が少ないため、規格は250mgのみです。

【般】メトホルミン塩酸塩錠500mgときたらMTがついていなくても、メトグルコのほうだとわかります。

まとめ

いかがだったでしょうか。

グリコランとメトグルコはあくまで、保険請求における分類上の違いであって、薬自体に違いがあるわけじゃありません。

あと、後発品の場合はメトホルミンとメトホルミンMTがあり、間違えやすいので注意が必要ですね。

今後も薬ネタについて、定期的に情報発信していきたいと思います。お役に立てれば幸いです。

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