こんにちは!薬剤師テンパです。
調剤薬局で患者さんに薬の説明をしていてよく聞かれること、それは・・・
「薬と牛乳の飲み合わせってどうなの?」
確かに牛乳って、薬の効果を和らげそうなイメージがあるかもしれませんね。
そんな質問を受けたらテンパは大体、「薬は水で飲みましょう!」と患者さんに伝えています。
でも、理由があるのです。
理由は、薬は水と一緒に飲み込むことを前提に作られているので、水以外のものと一緒に飲むと薬の効果がなくなってしまったり、強く効きすぎてしまったりすることがあるからです。
でも、小学校などの給食では毎日必ずと言っていいほど牛乳が出てきますよね。
そういう時、薬を一緒に飲ませて大丈夫なのか心配になる親御さんの気持ちもわかります。
そこで、今回は薬と牛乳の飲み合わせについて、詳しく説明していきたいと思います。
目次
薬と牛乳、一緒に飲んじゃダメ?
必ず水で飲んでね!
じゃあ、薬と牛乳の飲み合わせについてはどうかというと、全ての薬ではないけれど、薬によっては作用が弱くなったり、胃に負担をかけてしまうことがあります。
そのため、薬剤師として薬と牛乳を一緒に飲みことはオススメしません。
どんな薬がダメなの?
それでは、どんな薬が牛乳と飲み合わせに注意が必要かというと・・・
● 抗菌薬(テトラサイクリン系、ニューキノロン系)
● 骨粗しょう症薬(ビスホスホネート系)
● 腸溶錠(胃で溶けずに腸で溶けるよう工夫された錠剤)
がこれにあたります。
とは言っても、薬剤師以外の方は抗生剤の○○系とか言われてもわからないと思うので、商品名も紹介します。
抗 生 剤 | ||
商 品 名 | 成 分 名 | |
テトラサイクリン系 |
アクロマイシン | テトラサイクリン |
レダマイシン | デメチルクロルテトラサイクリン | |
ミノマイシン | モノサイクリン | |
ビブラマイシン | ドキシサイクリン | |
ニューキノロン系 | クラビット | レボフロキサシン |
ジェニナック | メシル酸ガレノキサシン | |
アベロックス | モキシフロキサシン | |
オゼックス | トスフロキサシン | |
シプロキサン | シプロフロキサシン |
骨 粗 し ょ う 症 薬 | ||
商 品 名 | 成 分 名 | |
ビスホスホネート系 | ボナロン | アレンドロン酸 |
フォサマック | アレンドロン酸 | |
ボノテオ | ミノドロン酸 | |
リカルボン | ミノドロン酸 | |
アクトネル | リセドロン酸 | |
ベネット | リセドロン酸 |
腸 溶 錠 | |
商 品 名 | 成 分 名 |
パリエット | ラベプラゾール |
オメプラール | オメプラゾール |
バイアスピリン | アスピリン |
なんで一緒に飲んじゃダメ?
では、なぜ薬と牛乳の飲み合わせが悪いのか・・・それは、牛乳の成分と性質が薬に影響を与えてしまうことが原因です。
牛乳の問題点
牛乳はカルシウムを多く含む
薬の中には牛乳に含まれるカルシウムと結合しやすいものがあり、結合することで薬が体内へ吸収されるのを邪魔してしまいます。そのため、薬の効果が弱まってしまいます。
抗菌薬(テトラサイクリン系、ニューキノロン系)、骨粗しょう症薬(ビスホスホネート系)がこれにあたります。
牛乳は胃のpHを上げる(酸性から中性にする)働きが強い。
ふだん胃の中は強い酸性で、大腸は中性です。薬の中には酸性で効果が弱くなってしまうものや胃で作用をすると胃に負担をかけてしまうものがあります。
このような薬は錠剤に特殊なコーティングをすることで、胃(酸性)では溶けずに、腸(中性)で溶けるように設計されて作られています。これが腸溶錠です。
ここで牛乳を飲むことで、胃のpHが上がり(酸性から中性になり)、本来は腸で溶けるはずの腸溶錠が胃で溶けてしまい、効果が弱くなってしまったり、胃に負担をかけてしまいます。
牛乳を飲みたい時はどうすればいいの?
牛乳が大好きで、薬と一緒にじゃなくていいからどうしても飲みたいという方は、薬を服用する前後2時間に、牛乳を飲まないようにすれば問題ありません。
もちろん、牛乳と飲み合わせが悪い薬以外なら、この前後2時間も気にする必要はありません。
まとめ
薬は、基本的に水で飲むこと!
薬によって牛乳の影響を受けるものと受けないものがある。
受けるものは薬の服用前後2時間は、牛乳を飲むのを避ける。
薬で困ったら必ず薬剤師に聞く。
可能な限りお答えします!
参考になれば幸いです。