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あなたは調剤薬局でこんな経験ありませんか?
病院で発行された処方箋を持って、その病院の近くの調剤薬局に行くと、待合室にはたくさんの患者が待っています。
待ち時間は1時間以上になりそう。
病院で待たされて、調剤薬局でもまた待たされて、くたくたになって帰宅する。
こんにちは、テンパです。
今回はこんな方に、薬剤師だからこそ知っている、調剤薬局での待ち時間を短縮する方法を教えます。
プロフィールでも紹介させてもらっている通り、テンパの本業は薬剤師です。
薬剤師の勤め先としては、病院、調剤薬局、ドラッグストア、
現在、院外処方という制度が主流になっています。
院外処方とは、
外来診療の場合は、ほとんどが院外処方となっているため、多くの方が調剤薬局にいらしたことがあると思います。
調剤薬局のイメージはどうでしょうか?
大きな総合病院の前にある調剤薬局はすごく混んでいて、長時間待たされるイメージがあるのではないでしょうか。
調剤薬局で働いていて、混んでいる時に良く見かけるのは
具合の悪い時に待たされて辛そうな方
待たされすぎてイライラしている方
その気持ちはすごくわかります。
また、待合室にはいろんな方がいます。
病気を治すために薬局で薬をもらいにきたのに、
早く良くなってもらいたい気持ちでいっぱいです。
薬を受け取るまでの流れ
患者さんが薬を受け取るまでの、大まかな流れについて説明します。
処方箋を受付で提出する
→ 受付けた事務員が処方箋の内容をレセプトコンピューターに打ち込む
→ 薬剤師①が、処方箋の内容に問題がないか確認
→ 薬を取り揃える
→ 薬剤師②が、処方箋の内容と、取り揃えられた薬が合っているか確認
→ 患者さんに薬の説明
→ お渡し
処方箋に間違いがないか、渡す薬は処方箋通りのものか、
薬剤師が2人がかりでWチェックしています。
待ち時間が長い理由
では、どんな時に患者さんの待ち時間が長くなるのでしょうか。
それは、混んでいる時に待ち時間が長くなるのはもちろん、患者さんが調剤薬局に持ってくる処方箋の内容によって、薬のお渡しにかかる時間が変わってきます。
薬剤師としてお渡しに時間がかかる処方箋の内容
① 処方箋に間違いがある
処方箋の記載形式は国によって定められいて、それに不備があったり、薬の用法や用量が間違っている場合は、処方箋を発行した医師に必ず確認した後でなければ、患者さんに薬をお渡しすることができません。
よくある処方箋の不備として、薬の用法がない!
この薬は朝飲むのか、夜に飲むのかなど、記載がなくても、薬剤師なのである程度推測はできます。しかし、勝手に判断して患者さんに渡すことはできないため、医師に確認しなければなりません。
中には医師に上手く連絡がつかない場合もあって、確認がとれるまで、長時間患者さんを待たせてしまうこともあります。
② 処方される薬の種類が多い
処方箋に記載されている薬の種類が多いと、最初のセレプトパソコンへの打ち込みから、処方箋の内容に問題がないかの確認、薬の取り揃え、取り揃えた薬の確認と全ての工程で時間がかかってしまいますが、患者さんにとって必要な薬なので、仕方がありません。
薬の種類が少なく、混んでいなければ、薬をすぐにお渡しすることができます。
③ 薬の在庫が足りない
処方箋に記載されている薬が、調剤薬局で在庫がない場合です。
調剤薬局は毎日、薬を卸売業者に注文して、薬を取り揃えています。
大体の薬は前日に注文し、翌朝に入ってきますが、急遽在庫がなくなった場合は、卸売業者に至急発注をします。
この至急発注をすると、卸売業者に在庫がある薬ならば、電話した後、大体1時間~2時間ぐらいで調剤薬局に薬を届けてくれます。
そのあと、患者さんに薬をお渡しするという流れになります。
④ 一包化調剤
患者さんの中には、何種類もの薬を飲んでいて飲み忘れが多い、手が不自由で薬を開けにくいといった方がいらっしゃいます。
このような場合、医師に許可をもらい、服用時間が同じ薬を1回分ごとに、小分けの袋に入れて、お渡しすることができます。これを一包化調剤といいます。
だたし、これをつくるのに、すごく手間と時間がかかります。
調剤薬局で薬をもらうと、錠剤などはPTP包装と呼ばれる、プラスチックのシートに入った状態で渡されると思います。
一包化は、薬剤師がそのPTP包装を1錠ずつバラして、用法ごとに分包機と呼ばれる機械でつくっているため、処方日数が長くて薬の種類が多い場合は、1人分の薬を作るのに30分かかったりします。
⑤ 粉薬、シロップ剤、軟膏剤
これらの薬の中には、製薬メーカーがすでに個別包装してくれているものもありますが、個別包装されていない場合は、薬剤師が薬を計量器等で計り、混ぜ、容器や袋にいれて、患者さんにお渡ししています。
これらの薬を作る場合は、手作業が多く、その間付きっきりになってしまいます。
そのため、他の業務に手が回らなくなり、待合室が混み合ってくるという負の連鎖が始まります。
最近は医療機器メーカーがこれらの問題を解決すべく、自動調剤してくれる機械を発売していますが、値段がとても高価な上に、患者さん一人ひとりに合った調節が難しく、使い勝手が悪いのです。
上で説明したケースの処方箋の可能性が高い
さあ、あなたの処方箋は時間のかかる・かからない、どっちでしょうか?
待ち時間を短縮するコツ
その前に意外と知らない処方箋の知識
① 処方箋の期限は4日
処方箋には期限があり、処方箋に特に記載がなければ、発行した日を含めて4日有効です。
そのため、その期間内であれば、いつでも処方箋を調剤薬局に持っていける。値段も変わりません。
② 処方箋はどこの調剤薬局でも調剤してもらえる
処方箋を発行した病院・クリニックの近くにある調剤薬局じゃなく、家の近くの調剤薬局でも調剤してもらえる。
薬剤師として待ち時間を短縮するコツの説明
① 病院やクリニックから調剤薬局に処方箋をFAXで送る
総合病院を受診すると、会計の近くにFAXコーナーが設置されているのを、よく見かけると思います。
そのFAXコーナーから、調剤薬局へ処方箋を送っておくと、調剤薬局がその処方箋の内容で薬をつくっておいてくれるのです。
注意点としては、FAXを送ってすぐに調剤薬局に行っても、薬はまだ準備されていないので、少し時間を開けてから行きましょう。あと、FAXした処方箋の原本を調剤薬局で提出しましょう。
② 調剤薬局に処方箋だけ渡して、数時間後、もしくは後日取りに行く
この方法も①と同様に、調剤薬局は処方箋の内容さえ分かれば、前もって薬をつくって準備しておくことが可能です。処方箋を受付で渡した後に、どれくらいかかるか聞いてみるのがいいでしょう。自分が戻ってくる時間を伝えると、その時間までに薬を準備してくれます。
③ 総合病院から出た処方箋は、家の近くの調剤薬局に持っていく
総合病院前の調剤薬局は、基本混んでいます。
その理由は、総合病院は複数の診療科があったり、受診者が多かったり、1人で複数科受診して処方箋が2,3枚ある場合が多いためです。
なので、混んでいる調剤薬局を避け、家の近くの調剤薬局へ処方箋を持っていくと、多少混んでいても、近所なのでいつでも薬を取りにいくことができます。
注意するのは、あなたが受診した診療科とは、全く違う診療科の近くの調剤薬局に処方箋を持っていった時です。薬の在庫がなく取り寄せになると、数時間かかってしまう場合があります。
例)内科で発行してもらった処方箋を、眼科の前にある調剤薬局に持っていく。
注意する事
処方される薬には、今すぐに飲むべき薬と、そこまで急がない薬があります。
具体的に言うと、今すぐ飲むべき薬は、抗生剤など症状が出てから数日間しか飲まない薬、急がない薬は、今まで飲んでいてまだ家にストックがある薬などです。
この間、調剤薬局でこのようなことがありました・・・
薬剤師として調剤薬局で働いていると、ある患者さんが来局されました。
その患者さんの持参した処方箋は、目の前にある病院で発行されたものではなく、少し離れた歯科で発行されたものでした。
処方内容は抗生物質が処方されており、発行された日から4日目の処方箋でした。
法律上問題はないのですが、患者さんの話を聞いてみると、抜歯したので薬がでたとのお話でした。
つまり、その抗生剤は抜歯した後、傷口から感染症を引き起こさないようにする、感染予防目的で処方されていたのです。本当は抜歯した後、すぐ飲み始める薬を、4日後から飲み始めても意味がないのでは・・・。
このケースでは、薬を飲まなくても感染症にかからなかったので良かったのですが、待ちたくないなどの理由で家の近くの調剤薬局に持っていくと、今すぐに飲むべき薬をすぐにもらえない場合があります。
この場合、患者さんの健康に重大な影響を与えかねません。
処方箋を発行した病院・クリニックの前にある調剤薬局だと、その薬はほぼ用意されています。
上で紹介したコツを試すなら、そこまで急がない薬の時にしましょう!
まとめ
調剤薬局での待ち時間を減らすには
① 病院やクリニックから調剤薬局に処方箋をFAXで送る
② 調剤薬局に処方箋だけ渡して、数時間後、もしくは後日取りに行く
③ 総合病院から出た処方箋は、家の近くの調剤薬局に持っていく
以上のことを試してみるだけで、あなたの時間のかかる処方箋も、グーンと待ち時間が変わるのではないでしょうか。
待ち時間が短縮されれば幸いです!