薬剤師シリーズ

便利な次亜塩素酸水を薬剤師が解説!インフルエンザ・ノロウイルス・O157にも効果、空間除菌や消臭も!

(※2020.6.27 次亜塩素酸水のコロナウイルスに対しての有効性について追記しています。)

こんにちは!テンパです。

冬の心配ごとと言えば、インフルエンザですよね。
テンパの勤め先の調剤薬局にも、シーズンになるとたくさんの患者さんが来られます。

テンパは職業柄、体調を崩した患者さんに接することが多いため、ウイルスや菌に感染する確率が非常に高いです。

そのため、勤務中はマスクと手指のアルコール消毒、家では手洗いとうがいをして、感染予防を徹底しています。他の患者さんに拡散させないことも、医療人としての大切な仕事のひとつです。

ですが、毎日アルコール消毒していると手が荒れてきたり、傷口があるとすごくしみるという悩みもあります。

そこで今回は、インフルエンザウイルスやノロウイルスなどに高い効果を発揮しつつ、手指への刺激が少ないとされる次亜塩素酸水について紹介します。

次亜塩素酸水とは?

厚生労働省で、“次亜塩素酸水は殺菌料の一種であり、塩酸又は食塩水を電解することにより得られる、次亜塩素酸を主成分とする水溶液である”と定義されており、酸性電解水とも言われます。

「高齢者介護施設における感染対策マニュアル 改訂版」(2019年3月)でも、菌やウイルスに対する不活化効果を期待できるとして記載されています。

また、2002年6月に食品添加物(殺菌料)として指定されており、野菜や魚介類など生鮮食品や調理器具などの衛生管理において、有効で安全性が高いとされています(除菌目的で市販されている次亜塩素酸水は食品添加物ではないため、食品には使用できません)。

それ以外にも、臭いの元となる細菌を除菌したり、臭いの原因物質を分解するため、消臭でも優れた効果を発揮します。次亜塩素酸水自体は、プールのようなニオイが少しだけしますが、気にならない程度です。

使用用途によって適切な濃度に調整することで、高い効果を発揮します。

3種類に分けられる

次亜塩素酸水は、pH値によって3種類に分けられます。

  • 微酸性次亜塩素酸水 … pH5.0~6.5(10~80ppm)
    pH値が中性に近く、人体にも優しく安全とされています。金属を腐食させることもほぼないとされています。

  • 弱酸性次亜塩素酸水 … pH2.7~5.0(10~60ppm)
    金属を腐食させることはほぼないとされていますが、pH値が2.7から5.0と幅が広いです。pH値が4以下になると塩素ガスが発生しやすくなると言われており、取り扱いに注意が必要です。

  • 強酸性次亜塩素酸水 … pH2.7以下(20~60ppm)
    主に食塩が原因で金属を腐食させる可能性が高かったり、塩素ガスが発生することがあるなど、取り扱いに注意が必要です。

pHが低いほど細菌やウイルスなどに対して効果が高いということではなく、一番pHが高く中性(=pH7)に近い微酸性次亜塩素酸水は、塩素系漂白剤の次亜塩素酸ナトリウム(アルカリ性)の80倍の除菌・消臭効果があるとされています。

注意しなければならないのは、塩素ガスです。
pHが低くなると塩素ガスの発生があり、少量でも吸い込むと気分が悪くなることがありますし、大量に吸い込むと非常に危険ですので、絶対に混ざることのないように管理をしてください。

また、pHが高いものは成分が安定していますが、低いものは不安定なため劣化が早くなります。

それぞれの特徴から、家庭での使用は微酸性次亜塩素酸水がおすすめであると考えられます。

 

「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」との違い

名前も効果も似ている次亜塩素酸ナトリウムは、アルカリ性の液に次亜塩素酸を含むもので、次亜塩素酸ソーダとも呼ばれ、次亜塩素酸水とは全くの別物です。

ここから次亜塩素酸ナトリウムについて、少しだけ説明します。

アルカリ性で、殺菌作用や、漂白作用、酸化作用があります。

家庭用では、「混ぜるな危険!」と書かれている洗濯用やキッチン用の塩素系漂白剤に使われています。

これを次亜塩素酸ナトリウムと酸性溶液を混ぜると、化学反応で毒性のガスが発生します。この毒ガスが塩素ガスです。

誤って飲み込んだ場合も、酸性である胃液と反応して、体の中で塩素ガスが発生します。
少量でも吸い込むと気分が悪くなることがありますし、大量に吸い込むと非常に危険ですので、絶対に混ざることのないように管理をしてください。

濃度の高い塩素系漂白剤が目に入ると失明のおそれがあることからもわかるように、次亜塩素酸ナトリウムは皮膚への刺激がとても強いので、使用時は直接触れないように、ビニールやゴム手袋が必須です。

また、金属を錆びさせてしまう作用があるため、使用時に注意が必要です。

 

消毒用アルコールとの違いは?

次亜塩素酸水を金属に使う場合に注意が必要なら、同じく安全性が高いと人気のアルコール消毒の方が便利では?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

たしかにアルコール消毒も幅広い場所に使用できます。
ですが、乾燥肌・敏感肌であったり、皮膚が弱い方が頻繁に使用すると、肌がダメージを受けてガサガサになり、痛みを伴う状態になってしまうことがあります。

それに火元では引火の危険性や、ニスや塗装されている製品に使うとはがれることがありますし、プラスチック製品にはくもらせたり、スチールや革製品には変色のおそれもあります。

また、インフルエンザウイルスの除菌はできますがノロウイルスには効果がありませんので、食中毒の除菌で使用する場合は、次亜塩素酸水が有効です。

テンパ
テンパ
最近、pHを酸性にしてエタノールの効果を高めた、ノロウイルスにも効く「酸性アルコール消毒剤」というものが発売されています。
しかし一般的なアルコール消毒は、ノロウイルスには効果が低いとされています。

次亜塩素酸水も消毒用アルコールも、それぞれに特徴がありますので、都合によってうまく使い分けるとより安全です。

 

人体に入るとどうなる?

次亜塩素酸水は有機物と反応すると素早く水に戻る性質で、ごく少量なら飲み込んでも問題ないとされています。

前述したとおり、2002年6月に食品添加物(殺菌料)として指定されたから安全というわけではありませんが、各研究機関で塩素の残留など安全性についての試験が行われて人体への影響もないとされ、現時点で問題の報告もされていないという点において、ひとつの基準になるのではないかと思います。

ですがあくまでも塩素ですので、他の洗剤などと同様に体の中へは入らないように気を付けましょう。

 

何に対して有効?

インフルエンザウイルスや食中毒の原因菌であるO157などの病原性大腸菌、サルモネラ菌、真菌(カビの一種。水虫などの原因)、アルコール消毒が効きづらいノロウイルスなど、さまざまなウイルスや菌を強力に除菌します。

例えばO157は酸性に強く、胃酸でも生き残ります。熱には弱く75℃で1分間加熱すれば死滅しますが、床やドアノブなどを熱するのは難しいですよね。
ノロウイルスには塩素系漂白剤を使用するのが一般的ですが、拭き取ったり洗っても残留が気になりますし、使える場所も限られます。

ですが次亜塩素酸水でしたら様々な場所に使えますし、残留を気にしなくても大丈夫です。

また、花粉にも効果がありますし、ダニ・ノミに対してですと駆除はできませんが、死がいを不活性化するとされており、花粉症や喘息の方のアレルゲンを減らすことができます。

カビに対しては死滅させることはできませんが、繁殖を防ぐ効果があります。
すでにカビが発生している所は、先にカビ取り剤できれいに掃除してから使用してください。定期的に吹きかければカビを予防することができます。

コロナウイルスへの有効性は?(2020.6.27追記)

経済産業省は2020年6月26日に、「次亜塩素酸水も新型コロナウイルスに対して有効である」と発表しました。

「次亜塩素酸水」を使ってモノの新型コロナウイルス対策をするときは、以下を参考にしてください。

新型コロナウイルスに対する次亜塩素酸水の塩素濃度の目安

  • 拭き取り消毒 … 80ppm(0.008%)以上
    ※表面をひたひたに濡らして20秒以上置き、きれいな紙・布で拭き取る。

  • 掛け流し消毒 … 35ppm(0.0035%)以上
    ※20秒以上掛け流し、きれいな紙・布で拭き取る。

※ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム等の粉末を水に溶かしたものを使う場合、有効塩素濃度100ppm以上のものを使いましょう。

 

 

手指も消毒できる?

スーパーや施設の出入り口でよく見かける消毒用のアルコールでは、繰り返し使用すると皮膚が荒れる方が多いですが、次亜塩素酸水は人の肌と同じ弱酸性です。タンパク質の有機物に触れると分解して水に戻るため、手荒れをしにくいとされています。

ですので素手で拭き掃除をしたり、手指にも使うことができるとされ、出入り口で設置する所が増えています。もし使用して異常を感じたり、塩素アレルギーがある方は、使用を中止して専門医に相談してください。

※2020年6月時点で厚生労働省は、手指など人体への使用についての検証は行っていないため、 “手指等への影響、空間噴霧の有効性・安全性は評価していません” としています。ご使用の際は自己責任でお願いいたします。

除菌・消臭効果は?

◆除菌
先に洗剤で汚れを落としたまな板や調理器具などのキッチン用品や布製品を、次亜塩素酸水に漬け置くか、吹きかけて1分ほど置いて、その後水で洗い流すと除菌完了です。
体に入る可能性があるものは、除菌後に水で洗い流して残留しないように気を付けましょう。

ウイルスや菌が心配な場所は、直接吹きかけて少し置き、使い捨てのペーパーなどで拭き取ってください。テーブルやドアノブなどには、普段からこまめに使うと良いです。
リモコンや携帯電話も、次亜塩素酸水を吹き付けたペーパーなどで拭き掃除ができます。

ただしノロウイルスなどの可能性がある吐しゃ物などの処理は、感染が拡大しないように素手ではなく、マスクと手袋をして行ってください。
その際に出たマスク・手袋を含むゴミは、袋に密閉して、それ以上広がらないようにすることが重要です。

◆消臭
有機物の消臭に優れた効果があります。
においのもととなる細菌を除菌したり、原因物質を分解してにおわなくさせるので、頻繁に洗うことができない場所に吹きかけることもできます。

タバコや靴下、ペット、トイレの使用後にひと吹きするなど、本当に様々なものに有効です。

もちろんベタついたりすることもありませんし、ソファやカーペット、まくらなどの布製品にも吹き付けてそのまま放置できるので、気軽に使うことができます。

香りでごまかす消臭方法ではないので、安全ですし信頼できますよね。

ただし、次亜塩素酸水はあくまでも除菌・消臭してくれるものですので、洗剤のように汚れを落としたり、漂白する効果は高くありません。
汚れたトイレやカビが生えた浴室などに使う場合は、掃除後の仕上げに、除菌や防カビ用として使用してください。

 

保存方法

保管する場所について

日光の紫外線で劣化するので、日光が当たらない場所で保管してください。

ただ、次亜塩素酸水は日光に当てていなくても、時間とともに分解し、塩素が抜けて、少しずつ水に戻っていく性質です。
温かい状態だと分解する速度が早くなりますので、ストックがある場合、気温が高い夏には室内での保管より、冷蔵庫などの冷暗所での保管がおすすめです。

実は次亜塩素酸水の効果は、温かいと高く、冷えていると落ちます。
温めてから(40℃ほどで充分です。)使うのに越したことはありませんが、家庭ではなかなか難しいと思います。
常温でも充分な効果がありますので、普段使うものは常温保存がおすすめです。

また、室内照明の蛍光灯や電球、LEDのライトでは、分解されることはありません。

容器の選び方

詰め替え用の次亜塩素酸水を買って、スプレーボトルを自分で用意して使う場合は、ボトル選びが重要です。

ポイントは、前述したとおり紫外線と金属に注意することです。
日光を遮断するための遮光容器で、金属製でなければ大丈夫です。微酸性と弱酸性次亜塩素酸水は金属の腐食の心配はないとされていますが、念のためプラスチック製などを選んだ方が安心です。

 

空間も除菌できちゃう

物や場所を除菌できるほか、部屋の空間も除菌できることをご存知でしょうか。

予防のためはもちろん、複数人で生活している中で誰かが風邪を引いたりインフルエンザにかかってしまった場合にも役立ちます。
快方に向かって症状が軽くなっても、完治するまでの間患者さんの体からは菌やウイルスが出続けています。もし隔離していたとしても、完全に防御することはできません。

そこで効果的なのが、次亜塩素酸水を加湿器のタンクに加える方法です。スプレーでは届かない天井や壁なども除菌してくれます。

加湿器はタンク内で細菌が増えた状態で使用すると、健康被害を引き起こすことがありますが、次亜塩素酸水を入れて使用するとタンク内の除菌も同時に行ってくれます。

空間に噴霧する上での注意点は、必ず人・ペットがいない時間帯に行うということです。
塩素を吸い込むと粘膜を刺激する可能性がありますので、くれぐれも注意が必要です。

また、加湿器での使用に対応している次亜塩素酸水なのかということと、次亜塩素酸水を使用できる加湿器なのかを、確認してください。それぞれに対応していない場合は故障などの危険性があります。
加湿器で使う場合の濃度については、50ppm(0.005%)が適当とされていますので、きちんと濃度を計算して使用してください。

※経済産業省が2020.6.25時点で経済産業省は、次亜塩素酸水の空間噴霧による有効性・安全性についての検証は行っていないため、 “手指等への影響、空間噴霧の有効性・安全性は評価していません” としています。安全面について各メーカーで試験や一定の動物実験などが行われているようですが、現時点で、「空間噴霧用の消毒薬」として承認が得られた次亜塩素酸水はなく、ご使用の際は自己責任でお願いいたします。

 

次亜塩素酸水の選び方

現在、様々な製品が「次亜塩素酸水」として販売されています。
次亜塩素酸水にさらに効果がプラスされたものであったり、かと思えば類似品を「次亜塩素酸水」だと誤認させるようなかたちで販売されているものもあります。

選ぶときは、効果の広告だけではなく、必要なことが表示されているかなど、しっかりと確認して購入し、正しく使用することがとても重要です。

“成分”が表示されていること

何から作られているのかが表示されていることが重要です。

次亜塩素酸水は、食塩と純水(=塩化ナトリウム水溶液)を電気分解して作られます。

次亜塩素酸水に機能をプラスするためなどで、それ以外の成分が使われている製品を選ぶ場合は、効果や使用方法などを熟読してから使用してください。

 

“濃度”が表示されていること

次亜塩素酸水は、用途により濃度を変えて使います。
元々の製品の濃度がわからなければ、適切な濃度にすることができません。

ですが、必要な濃さでなければ効果がないから使えない、ということではありません。
目安より薄い場合でも、吹きかける量を増やし、置く時間を長くすると、効果があります。

例えば消臭の効きが悪いと感じたら、吹きかける量を増やしたり、ノロウイルスなどの強いウイルスや菌の場合は、吹きかけては拭き取る作業を数回繰り返して対応することも有効です。

使用用途別 次亜塩素酸水の塩素濃度の目安

  • 手洗い、ほ乳瓶の除菌、加湿器など … 50ppm(0.005%)
  • 消臭 … 100ppm(0.01%)
  • キッチンの除菌やゴミの消臭など … 200ppm(0.02%)
  • ノロウイルスの処理、カビ取りなど … 400ppm(0.04%)

“保存期限”が表示されていること

次亜塩素酸水はその構造上、時間とともに劣化する性質です。

次亜塩素酸水を普段から活用しているなどで、使いきれる量を用意するのでしたらいいのですが、保存期限が短いことに気付かないまま大量に購入してお金を無駄にしてしまわないよう、注意が必要です。

また、遮光容器で販売されていることも大切な判断材料です。

 

どこで買えるの?

ドラッグストアで取り扱いがありますし、楽天市場などでも販売されています。

すぐにそのまま使えるストレートタイプや、濃縮液を希釈してから使うタイプ、また、その場で水と塩のみで作ることができる生成器もあります。

日常でよく使うならば、生成器の方が鮮度もコスパも良いかもしれませんね。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はとても便利な次亜塩素酸水についてご紹介しました。

ウイルスや菌に感染する可能性を低めるため、日々のうがい・手洗いや、人混みではマスクをするなどの基本をしっかり行った上で、プラスアルファで活用していただければと思います。

巷では次亜塩素酸水をうがい水に使ったり、水虫の改善のため足を漬けておくといった使い方をしている方がいるようですが、次亜塩素酸水は医薬品ではありません。
確かに安全性が証明されているものではありますが、手の除菌以上に人体やペットなどの生物に使う場合は、自己責任となりますのでご注意ください。

参考になれば幸いです。

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