こんにちは!テンパです。
薬とグレープフルーツジュースは飲み合わせが悪いって聞いたことありませんか?
病院や調剤薬局で薬をもらうと、薬と一緒に付いてくる薬情(薬の説明や飲み方が書かれた紙)にも、グレープフルーツジュースと一緒に服用しないようにと書かれているのを、見たことがあるかもしれません。
実際に調剤薬局で働いていて、
「薬を飲んでいる間はグレープフルーツジュースを飲んじゃいけないんでしょ?」
と患者さんに聞かれることもあります。
確かに、グレープフルーツジュースと飲み合わせの悪い薬があるのは事実ですが、全ての薬と飲み合わせが悪いわけではありません!!
安心してね!
しかし、そう言われても・・・
● どの薬がそうなのかわからない
● 一緒に飲むとどうなるのか?
● 薬を飲んでいる間は、ずっとグレープフルーツジュース飲めないのか?
● グレープフルーツジュースではなく、グレープフルーツは?
などなど、いろいろ気になることが出てくると思います。
そこで、今回は薬剤師のテンパが、薬とグレープフルーツの飲み合わせについて、詳しく説明していきます。
【 薬剤師向けの説明はこちら 】
目次
なぜ薬とグレープフルーツジュースの飲み合わせが悪いの?
フラノクマリンが問題!
一般的に口から飲み込んだ薬は、腸管で吸収され、体内で作用し、肝臓などで薬物代謝酵素によって無害な成分に変化させられて、腎臓から尿と共に体外へ排出されます。
※ 薬の用量は、代謝され薬として作用しなくなる分の量も含めて計算されて、決められています。
知らなかったの
さらに薬によっては、肝臓だけではなく、最初に腸管で吸収されるときにも、腸管に存在する薬物代謝酵素の働きで、一部が代謝されます。
しかし、グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンは、この腸管に存在する薬物代謝酵素の働きを抑えてしまいます。
すると、腸管で代謝される薬の割合が減るため、薬の成分が通常よりも多く残る状態になります。よって、体内に吸収される薬の量が、通常より増えてしまうことになります。
そのため、薬の効果が強く出たり、副作用が現れやすくなります。
例えば、血圧を下げる薬にもグレープフルーツジュースの影響を受ける薬があり、血圧が下がりすぎたり、頭痛・めまいなどの症状を引き起こすことがあります。
禁止されているのです。
どんな薬と飲み合わせが悪いの?
飲み合わせの悪い薬の分類として、降圧剤、抗不整脈薬、高脂血症治療剤、催眠鎮静薬、抗てんかん薬、免疫抑制剤などがあげられますが、その分類の中でも飲み合わせが悪いものとそうでないものがあるので、具体的にご紹介します。
分類 | 成分 | 先発品名 |
カルシウム拮抗薬 (降圧剤) |
アゼルニジピン ニカルジピン ニフェジピン ニソルジピン |
カルブロック ペルジピン アダラート バイミカード |
抗不整脈薬 | アミオダロン | アンカロン |
高脂血症治療薬 | アトルバスタチン シンバスタチン |
リピトール リパバス |
催眠鎮静薬 | トリアゾラム ジアゼパム |
ハルシオン セルシン/ホリゾン |
抗てんかん薬 | カルバマゼピン | テグレトール |
免疫抑制剤 | シクロスポリン タクロリムス |
ネオーラル プログラフ |
参考までに一部の紹介になりますので、詳しくは薬を受け取る際に薬剤師に確認するようにしましょう。
グレープフルーツジュースはずっと飲めないの?
グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンによる、腸管に存在する薬物代謝酵素の働きを抑えてしまう作用は、グレープフルーツジュースを飲んだ日だけでなく、2~3日続く場合もあると言われています。
また、グレープフルーツジュースの摂取量が多いほど、薬への影響は高まりますが、少量(コップ1杯程度)でも影響があるとされています。
そのため、薬と同時にグレープフルーツジュースを飲まなければいいという単純な問題ではなく、薬を服用している期間は、極力グレープフルーツジュースの飲用は避けることが望ましいということです!
グレープフルーツジュースはだめでも、グレープフルーツはいいの?
学生の頃、大学の講義でこんなことを聞きました。
「薬物代謝酵素の働きを抑えるフラノクマリンは、グレープフルーツの薄皮の部分に多く、果肉は問題ない。」
しかし、最近の研究ではグレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンは、グレープフルーツの果肉部分にも含まれているとのことです。
したがって、グレープフルーツジュースの飲用を避けるだけだはなく、グレープフルーツの果肉を食べる場合も注意が必要です。
他の柑橘類と薬の飲み合わせは?
では、グレープフルーツと同じ柑橘類も、同じような作用があらわれないか心配ですよね?
実はグレープフルーツだけでなく、他の柑橘系でもザボン、ダイダイ、スウィーティー等にもフラノクマリンが含まれており、同様の症状が起こる可能性があります。
一方で、同じ柑橘系でもレモン、ミカン、オレンジには、フラノクマリンが含まれていないため、薬の服用前後で食べても問題ありません。
もしや・・・ミカンのおねだりをしているな
まとめ
いかがでしたでしょうか。
これまでなんとなーくの知識だった「薬とグレープフルーツジュースは一緒に飲んじゃダメ」の理由と詳細を、おわかりいただけたのではないかと思います。
グレープフルーツやグレープフルーツジュースを日常的に摂っている方は、ご自分の薬との飲み合わせはだいじょうぶかどうか、薬剤師に確認してみてくださいね。
参考になれば幸いです。